看護師のための筋萎縮性側索硬化症の解説

筋萎縮性側索硬化症の解剖生理

私たちヒトの神経系は、「体性神経」と「自律神経」という2種類の神経から成り立っています。

 

自律神経とは、心臓のように、外部刺激を受けない神経です。

 

体性神経とは、外部からの刺激を受け取ったり、随意筋の働きをコントロールする神経です。

 

そして、体性神経には、痛みや寒暖を感じる知覚神経と、
運動をしたり重いものを持ち上げたりする筋肉の働きに
指令を出す「運動ニューロン(神経)」があります。

 

上位運動ニューロンは、脳にあって、
運動の指令を脳幹・脊髄へ伝え、さらに筋肉へと伝えます。

 

また、上位運動ニューロンは、大脳分野に細胞体がある、
脳幹・脊髄に軸索を送っている運動神経です。

 

下位運動ニューロンは、脳幹の運動神経核・脊髄前角に細胞体がある、
筋肉に軸索を送っている運動神経です。

 

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、
この運動ニューロンが侵され、筋肉が萎縮し、筋力が低下していく病気です。

刺激が神経を伝わる仕組み

ニューロンは、「神経細胞体」、「樹状突起」、「軸索」の
3つの部分から構成されていて、軸索の末端は、
別の神経細胞との間にほんの少しの隙間を開けて接しています。

 

この部分を「シナプス」といいます。

 

脳や末梢神経からの刺激(命令)は、
神経細胞体や樹状突起がシナプスを介して受け取り、
それを電気信号として神経細胞体から軸索へ伝えます。

 

このようにして軸索の末端まで伝わった電気信号は、
再びシナプスを介して次のニューロンに伝わります。

 

このシナプスの隙間を電気信号が伝わるためには、
軸索の末端からグルタミン酸などの神経伝達物質を出し、
次のニューロンがこれを受け取って電気信号になり、
伝わっていくという仕組みがあります。

 

このような仕組みによって、運動ニューロンは、
筋肉に刺激を伝え、手や足の筋肉を動かすことが出来るのです。

筋萎縮性側索硬化症の病態生理

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動ニューロンが侵されることによって起こります。

 

運動ニューロンは、随意運動を行なう筋肉(随意筋)を支配しています。

 

ですから、この運動ニューロンが侵されると、
脳や末梢神経からの刺激(命令)が受け渡しをするシナプスの数が少なくなったり、
形や質に変化が生じ、結果、神経細胞からの刺激が伝わりにくくなり、
筋肉への命令が届かなくなります。

 

筋肉への命令が届かなくなれば筋肉運動が減少し、やがて消失します。

 

その結果、運動麻痺が起こり、運動できない筋肉が痩せます。

 

痩せた筋肉は筋力を失うので、刺激が伝わらなくなり運動機能を失います。